ジャケ買い天国: シリーズ第4弾「コリーン ジス・ワンズ・フォー・ユウ CORINNE This One's For You」
CORINNE This One's For You (1999)
コリーン ジス・ワンズ・フォー・ユウ
1 | Wonderful World | 3:50 |
2 | Rescue Me | 3:27 |
3 | Just A Minute | 3:24 |
4 | This One's For You | 4:52 |
5 | Higher Power | 3:29 |
6 | Woman In Love | 3:59 |
7 | Blamin' It One Love | 2:59 |
8 | Keep One | 3:57 |
9 | Magical Woman | 3:03 |
10 | Whatever It Takes | 3:43 |
11 | Let The Music Play | 3:25 |
12 | True Love | 4:17 |
13 | What A Feeling | 3:27 |
14 | Rescue Me (Dance Mix) | 3:18 |
最近のようにジーンズやパンツスタイルが女性ファッションの主流になっていると、このアルバムジャケットのような女性を見かけることはとても珍しくなったように思う。しかし、こうしたキュートな仕草にこそ本来の女性らしさや色っぽさを感じとることができるのではないだろうか。健康的な色気とはこんな何気ないシーンにあるのかもしれない。こんなジャケットに出会ったら、中身はどうあれ買わずにはいられなないのが人の常(?)。恋愛で言うところの「ひと目惚れ」。
斯くして、このアルバムも私のCD蒐集歴で名誉ある(?)「ジャケ買い」の一枚に加わることになったのである。
このアルバムはコリーンのデビューアルバムで、発売されたのは1999年。
当時のアルバムのキャッチコピーを見てみると「21世紀のスーパー・ディーヴァ コリーン」とある。
だが皮肉にも現在、彼女についてはほとんど忘れ去られているようで、ネットでもアルバムは廃盤扱いであり、残念ながら現時点では入手は困難である。
デビュー以降の彼女の動向を知りたくて、いろいろと調べてみたがほとんど資料は見つからなかった。「CORINNE」でネット検索掛けても、コリーヌ・ベイリー・レイ(Corinne Bailey Rae)というイギリスのシンガーソングライターにヒットしてしまい、当該のコリーンに関する情報は見当たらない。ちなみに、コリーヌ・ベイリー・レイというのはノラ・ジョーンズやシャーデーなどと同系の今風の若手女性シンガーである。
こちらはソウルフルな歌唱が話題の「コリーヌ・ベイリー・レイ」 |
唯一の資料である当時のCDジャケットのライナートーツによれば、本名がカリン・オスカーソンでスウェーデン出身とのこと。当時の年齢から計算すると現在は37歳前後のようである。
音楽に於いてはジャンルに拘らない幅広い活動と、ミュージカルやジャズダンスの経験もあるという多才ぶりで、当時はスーパースターへの道を一歩一歩目指していたようである。だが、彼女のその後の活動内容はハッキリしないので断定はできないが、そんな堅実な努力にもかかわらず彼女の輝かしい活躍はそれ以降残念ながらなかったようである。
思うに、彼女がデビューした2000年前後は、時期的には最悪のタイミングだったように思う。当時のミュージックシーンはホイットニー・ヒューストンやマライヤ・キャリーという桁外れの大物女性ヴォーカルが両横綱として君臨していた時代である。それも彼女たちの全盛期にカブっていたのだから。
そんなタイミングの悪さに加え、彼女自身にも不運をもたらす要因があったのではと個人的には思っている。それはこのアルバム「This One's For You」を聴けば頷けるかもしれない。
アルバムはポップ、ソウル、ロック、ダンスミュージック、それに本格的なバラード物で構成されていて、彼女のキャリア通り、何れのナンバーも無難にこなしている。端的に言って、彼女は多才(多彩)過ぎたのだと思う。その何でもこなす器用さが逆の結果を招いたのかもと想像する。
更に、彼女が目指した歌手としての路線にも問題があったのではないだろうか。
当面は若さを前面に出し、大ヒットした2曲目の「Rescue Me」のようなダンスナンバーに絞ったアルバム作りに専念する方が得策だったかもしれない。ジャケット写真から想像する彼女のイメージはどう見てもアイドルである。だが彼女の声質、歌唱法は実にアダルトで本格的で、バーバラ・ストライザンドの名曲「Woman In Love」や映画フラッシュダンスのテーマ曲「What A Feeling」のような難曲もいとも容易くカバーしている。そうした難しい曲も私は唱えるのよと言わんばかりの選曲も逆効果に働いたのかもしれない。そんな彼女の背伸びした実力も、当時の時代背景では単なる「平凡な歌手」と見なされたのだろう。
当時の女性ヴォーカル界は、歌唱力と美貌を兼ね備えた実力者はいくらでもいた時代である。
今、改めてこのアルバムを聴いてみると一曲一曲の完成度は高く、その上1999年のアルバムとは思えぬほど新鮮でほとんど古さを感じない。ブレイクできるチャンスを秘めたアルバムだけにとても惜しいと思っている。今だったら勝負できたのかもしれないと思うと、「巡り合わせの悪さ」というか運命の悪戯のようなものを感じずにはいられない。これまでのミュージックシーンを振り返れば、ある種の偶然やチョッとしたキッカケ(CMに採用されるなど)でブレイクした曲は少なくない。私のようなこうした音楽紹介サイトの記事がこうした不運なアーチストたちの掘り起しの一助になれば幸いである。
最後にコリーンに関して書いていて何より不思議に感じたことがある。それはあれほどストイックにスーパースターを目指していた彼女が、このデビューアルバム以降目立った活動をしていないということである。そう決めつけて良いのかわからないが、少なくとも今のミュージックシーンにあって、これと言った彼女に関する情報を私たち音楽ファンが容易に得ることができないというのは実にミステリーである。デビューアルバムが芳しくなくても、諦めることなく次に挑戦するのがデビュー当時の彼女のスタイルでありパワーだったと思うのだが・・・
それとも、私だけが知らないだけで、スウェーデン辺りでは今でも大活躍しているのだろうか。
心温まる近況なら是非とも知りたいものだ。
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