音楽について感じたこと ~独断と偏見的考察~


このところ、懐かしのメロディーにハマっている。
と言っても演歌ではない。
懐かしのスクリーンミュージックである。
「黒いオルフェ」、「いそしぎ」、「ムーンリバー」、「太陽がいっぱい」など挙げればキリがないが、当時リアルタイムで劇場で観た映画ではないが、この時代の映画音楽のインパクトが強い。
それは何故かといえば、とても単純なことで、どれもゆったりとしていてメロディーが綺麗だからだ。所謂癒し系で僕たちを快適にしてくれるからだと思う。

こうした曲は映画ファンのみならず、多くの人たちに知られ、映画挿入曲の域を脱して、所謂スタンダードナンバーとして世代を超えて音楽ファンに愛されてきた。


そんな懐かしのスクリーンミュージックを再び聴いてみようと思ったキッカケは、最近耳にする曲の無味乾燥さを痛感するからだ。
まず残念なのは、そのメロディーの貧弱なこと。
何とも掴みどころのない平凡な旋律で、これと言った特徴もなく、どれも同じように聞こえてしまうのは僕だけだろうか。

そして何よりも気になるのが、曲の流れが唐突で不自然なこと。
高い音、低い音の移り変わりが極端で、曲の展開に無理を感じてしまうことだ。
楽器演奏ならまだしも、ヴォーカルの入った曲となると、ミュージシャンの声量(歌唱力)にもよるのだろうが、高音域などは声がかすれて聴いているこちらの方が息苦しく感じてしまう。これでは僕たちはリラックスできない。

チョッと良い曲だなと思ってみても、以前どこかで聞いたメロディーに似ていたりして、忽ち興ざめしてしまうことなどもある。
錆びついた表現になってしまうけど、鳥肌が立つような、胸が熱くなったり心躍るようなときめきを感じることはその手の曲からは決してない。


その昔、ビートルズの「ガール」や、サンタナの「ブラック・マジック・ウーマン」を初めて聴いたときの衝撃はいまも忘れない。理屈抜きに感動し憧れたものだった。
自分もこうした曲を作ってみたいとか、演奏してみたいとかの憧れ。
たとえそれが実現できなかったとしても、こうした感動を体感し、辛いこと苦しいことを僕たちは音楽とともに乗り越えてきた経験をもっている。
そして、そうした思いを僕たちに感じさせてくれたのが、当時の個性溢れるメロディーと楽曲の素晴らしさだったのだと思う。(注1)


「おいおい、バカを言っちゃ行けないよ。今の時代、音楽はメロディーじゃなくて、リズムだよ。」なんて声がどこからか聞こえてきそうだが・・・

それでは、僕たちが心の底から「良い曲だな~」と感じる曲の特徴あるいは要素とはいったいどこにあるのだろう。
メロディー優先か、リズム優先かといった観点の問題もあるので、なかなか議論しずらい部分もある。
楽曲の構造が云々といった専門的な理屈(音楽理論)は僕には分からないけど、良い曲か悪い曲かの判断の基準は至って単純だと思う。
それは、その曲を再び聴きたいかどうかだと思う。


一度聞いたら忘れられない個性的な旋律。それは美しかったりユーモラスだったり哀愁を帯びていたりと様々だけど、心に残る曲はみんな最初から何か惹きつけるものがあるみたいだ。そして理屈抜きにもう一度聴いてみたいと思うのだ。

「あの頃、雨後の筍のように次から次と世に出たヒット曲(ヒット曲が心に残る優れた曲とは必ずしも言えないけれど)は、果たしてあの時代で出尽くしてしまったのではないか。」と考えることがある。

「音楽は無限だと言うけれど、曲って音の順列組み合わせみたいなものだから、ある意味限りがある。」と、むかし音楽関係の誰かがラジオか何かで言っていたけど、その辺の記憶に自信はない。ただ、話の中身だけが妙に印象に残っていた。
一定の長さであって聞くに耐えられる曲という条件をつけたら、そうした考え方も成り立つのかもしれません。
そうなると、やはりスタンダードナンバーになり得るような優れた楽曲は出尽くしてしまったと考えるのが妥当か。あるいはこの先名曲と呼べる曲が仮に生まれたとしたら、それは極々珍しいミラクル級の大ニュースに値するのかもしれない。

そんな風に考えると、作曲とは人が作り出すものではなくて、僕たちの知らない場所にすでに曲は存在していて、それを未知の領域から掘り出す作業、言い換えれば「発見すること」に近い行為なのかもしれないと思ったりもしてくる。

そう言えば、遥かむかし僕がクラシック音楽に目覚めたころ、ビゼーの「アルルの女」、サンサーンスの「白鳥」、シューベルトの「アヴェ・マリア」そしてチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」等々を聴き、次から次と名曲に出会った。それは洞窟から宝箱を見つけた(そんなの見つけた経験は一度もないけど)のと同じような喜びだったのかもしれない。
そのクラシックという宝箱には様々な国の名曲という宝石が入っていたが、その箱はあまりに大きくて、いまだに僕は未知なる楽曲を探索し続けている。

*注1「音楽は僕たちに何をもたらしてくれるのか?とか音楽の影響力」といった話題は、メディアのなかで度々議論になることですが、これについては次回、続編「音楽の力」として取り上げたいと思っています。
2020.03.04 JDA

★音楽について感じたこと<続編> 音楽の力について一言https://jdnext.blogspot.com/2020/03/blog-post_5.html

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