多才ジャズマン ビリー・テイラーを知っていますか?

Kirill AverianovによるPixabayからの画像

前回のブログで、音楽聴き放題サービスのサブスクリプション(以後サブスク)のお話をしましたが、今回はわたしが加入している「Apple Music」で出会った(見つけた)ひとりの才能豊かで魅力あるアーチストについてご紹介します。

サブスクの音楽聴き放題は、音楽の一部分が聴ける「試聴」と違い、音楽全曲あるいはアルバム全曲が聴けるのが最大の魅力で、兎角偏りがちな音楽嗜好の打開に役立つツールだと私自身評価しています。

今回、そんな聴き放題で発見したアーチストが、ジャズピアニストのビリー・テイラーです。

1950年代から活躍していたとのことですが、日本に紹介されたのは、だいぶ後になってからのようです。

正直、今までジャズ関連の書籍、ラジオやテレビなどの放送、ジャズ喫茶でも、一度も聞いたことのない名前でした。

Jose Antonio AlbaによるPixabayからの画像

当時は錚々たるジャズジャイアンツの影に隠れて目立たない存在だったようですが、彼のトリオでの演奏を聴くと実に軽快で心地よいピアノを聴かせてくれます。
ライブ盤も多く、その内容の充実感から巷ではある程度の人気を博し、知名度はそこそこあったように推察できます。


彼はジャズピアニストでありながら作曲家でもあったようです。
でも、ここまでの才能ならジャズ界にはこれまでに多くの精鋭たちがいた訳で、ビリー・テーラーが特別だったのは、大学の教授としての一面を持ちジャズの教育・教宣活動にも情熱を注ぎ、ジャズの普及に貢献したことでしょう。アーチストとしては異色な存在だったのです。

そのためか、彼の演奏スタイルは極めて正攻法です。
とは言っても、演奏は単調ではありません。
時代に逆らうことなくこの時代のスイング感も十分楽しめるし、それでいてメロディーも大切にしているところが何とも好感が持てます。

わたし自身が若い頃だったら、彼のこうした演奏をどう評価しただろうと思うこともありますが、肩肘張らない彼の演奏スタイルは今の自分にはピッタリな気がします。


ドラムスのブラシ奏法によるビートの刻みと、それに呼応するかのように展開する彼の流麗なピアノが実に心地よく感じます。

João Thiago Bustamante de AndradeによるPixabayからの画像


時に、彼のピアノは軽すぎるという批評もあるようですが、それも彼の魅力です。


お気に入りのアルバムをあげるとすれば、やはり初期の作品になるでしょう。
例えば「One for Fun」や[Billy Taylor Trio,Vol.1/Vol.2]などは最もビリー・テーラーらしくてお薦めです。

アルバム「One for Fun」

アルバム「Billy Taylor Trio ,V1/V2」


なかでも1959年のアトランティック盤の「One for Fun」は人気盤で定評があり、聴いてみると「なるほど!」と頷ける名演揃いのアルバムです。

その他では1969年の「Sleeping Bee」もBilly Taylor Trioらしさを感じ取れるアルバムではないかと個人的には思っています。

アルバム「Sleeping Bee」


サブスクの「Apple Music」では数多くの彼のアルバムを聴くことができますが、残念なことに彼のアルバムをCDで入手することは、ほんの一部を除いて*  現在は困難なようです。
復刻盤が出ることを期待するしかありません。

<追記>
*本稿投稿時点(2022.10.08)で購入可能CDアルバムとして把握するのは[Billy Taylor Trio,Vol.1/Vol.2]です。ただしVol.1/Vol.2は個別仕様になっていてジャケットも上記とは異なります。

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