先日、:「クルム伊達、観客のため息に切れる」という記事を読み、とても残念だった。また、正直なところ腹が立った。誰に腹が立ったのかと言えば、当然のことながらクルム伊達に対してである。
当日、有明コロシアムの試合を観戦していた訳ではないので、偉そうなことは言えないが、テレビのニュースや複数のサイトの記事を読む限り、伊達自身に非があるようにわたしには思えた。
テニスや卓球を経験した人ならお分かりだろうが、長いラリーの末、自らのミスでネットなどしてプレーが途切れた時などは、思わず「ため息」が出るものである。それが大きな大会なら尚のこと、その落胆の度合いも大きいはずである。それは試合観戦の場合も同様ではないだろうか。そんな状況下で「ため息を止めろ」とは甚だ無理な話である。
問題のシーンはタイブレークの接戦の下での伊達のダブルフォルトに端を発し、その瞬間観客から一斉に件の「ため息」が発せられ、その際思わず上記のフレーズを彼女が叫んだという。最もこれ以前から彼女は観客のため息に対しては必要以上にナーバスになっていたらしいが。
これまで自分自身の不甲斐ないプレーに対し、自身を鼓舞するかのように大声で叫ぶプレーヤーを見たことはあったが、今回のようなケースは前代未聞ではないだろうか。
本来、自分を応援してくれる観客に対し敵意をむき出しにしては、その時点で勝敗の行方は伊達側には向いてこないのは当り前。サーブの際に観客が叫んだり、動いたりといったマナー違反があったのならともかく、「惜しい」とか「残念」の意を含んだ「ため息」が観客から出たからと言って、観客の所為にするのは問題をはき違えているとしか思えない。
彼女は自身のブログの中で、「どうして日本人の応援って悪いときはこもる感じになるんだろう??」と述べているが、その受け取り方は自分自身に問題があるからではないだろうか。確かに外国の観客はそれ程「こもらない」かも知れない。それは裏を返せば外国人の応援は日本人ほどクルム伊達を応援していないから「こもる」度合いも小さいし、「ため息」も出ないのだと思う。彼女にとってそれほどに日本人の応援は有難いはずである。そのことを彼女は冷静に考えてほしいと思う。
引退前の現役時代、伊達は、アスリートとしても人間的にも素晴らしい選手だったと思う。
現役復帰後も、かつての若さと力強さを頭脳プレーに変えて、精神的な強さと巧みな戦術で年齢以上のガンバリで試合に臨んでいた。だが、今回のような感情をさらけ出しては、肝心な頭脳プレーも機能しないはずである。
老体にムチ打って頑張るのもそろそろ限界ではないのか。ネット上にのった試合中の彼女の表情は、そのように映っていたように思う。
引退後、ウィンブルドン等のメジャー大会でテニス解説をしていたときの彼女は、自身の経験を踏まえた的確な解説で好感が持てたが、こんなことがあってはその頃の好印象が台無しになってしまう。これ以上、惨めな姿を観客の前で晒すのはやめて、そろそろ自分自身に正直になるべきだと思う。
往年の歌手やロックグループが来日し、コンサートなどで年老いた姿を晒し苦しそうに歌っている光景は、わたしは好きではない。本当のファンならそうした姿もたまらなく貴重であるという見方も一方にはあるのかもしれないが、個人的には惨めで見るに堪えないと感じてしまう。そんな老体と衰えた歌唱力なら、かつてのレコードを聴いていた方がマシと考えてしまうのである。
酷なようだが、現在のクルム伊達にはそんな姿が重なる。
今回の件で、当日、有明コロシアムに足を運んだ7000人の応援を完全に敵に回した形になった伊達。今後の試合が益々やり辛くなるのは確かだ。
ただ、感心したのは日本の観客、ファンの暖かさで、それ程心配する必要もないのかもしれない。
だが、今のところネット上では伊達を非難するような声はほとんど見ないが、果たして本音はどうなのか興味深い。試合観戦の仕方まで選手に指摘されて、それでも黙って応援を続ける日本の観客は、どこかのCMのように不思議としか言いようがない。
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