名曲紹介、こんな名曲がこのアルバムに・・・ :アール・クルー 「Theme for a Rainy Day」

ミュージシャン:Earl Klugh ( アール・クルー )
アルバムタイトル:Midnight in San Juan 『ミッドナイト・イン・サン・フアン』
曲名:Theme for a Rainy Day(アルバム7曲目)
リリース年:1991年



アール・クルー:『ミッドナイト・イン・サン・ファン』
1 Midnight In San Juan
2 Every Moment With You
3 Kissin' On The Beach
4 She Never Said Why
5 Mobimientos Del Alma (Rhythms Of The Soul)
6 Jamaican Winds
7 Theme For A Rainy Day
8 Take You There








かつて、フュージョンというジャンルの音楽が、一世風靡したことをご存知だろうか。
1980年代後半から90年代にかけて、ジャズからフュージョンへ傾倒していったミュージシャンは多かった。フュージョンからスタートしたミュージシャンを含めると、あの当時ミュージックシーン全体に占めるフュージョンの勢力図はかなりの割合だったはずだ。

クロスオーバーと呼ばれたこともあったが、フュージョンとクロスオーバーのハッキリした違いは、正直今でも分からない。
意識していたのは、ジャズやロックやR&Bなどの複数ジャンルの融合ということだった。
だが、そうした理屈よりも当時は、直にそのリズムやサウンドを聴いて、「これがフュージョン音楽か!?」と肌で感じ取ったものだ。このように自分なりに感じて、このジャンルのファンになったのは筆者だけではないと思う。これは、ブームに流されてとか、誰かの影響とかではなくて、自らの体験に基づく体感的判断で、このジャンルに惹かれていったのだ。少なくとも私は、自分で納得しなければ、ファンになることはないから。





そんな訳で、今回はあの当時、巨大化したフュージョン界にあって、独自の世界を展開し活躍したギタリスト「アール・クルー」のおはなしです。


アール・クルーといえば、まず思い出すのがアルバム「フィンガーペインティングス」(図1)。
このアルバムには「最高!」「傑作」「決定版」といった絶賛の形容が、躊躇うことなく与えられてきた彼の代表アルバムだ。彼の3枚目のスタジオ録音アルバムになるが、恐らく私は、1、2枚目をとばして、この3枚目からアール・クルーの世界に入っていったと思う。そう表現すると聞こえは良いが、実際のところは1、2枚目の段階では彼の存在(or素晴しさ)を知らなかったからだろう。

                
                 (図1)



確かにこの「フィンガーペインティングス」は、アルバム全体としては実にまとまっている。
だが、欲を言えば、決定打と呼べるナンバーがないことだ。
その点、今回紹介するアルバム『ミッドナイト・イン・サン・フアン』は、まとまりがある上に決定打に値する曲もある。それがアルバム中7曲目の「Theme for a Rainy Day」という曲だ。

このアルバムはリリースが1991年なので、フュージョン全盛期の作品と言える。当然私はリアルタイムであの頃聴いていたハズなのだが、完全にこの曲はスルーしていた。
これほどまでに切なく美しいナンバーが、私の記憶から抜け落ちていたことになる。
自分ごとだが、不思議であり、信じられないし、何よりショックだった。


アルバム7曲目「Theme for a Rainy Day」


「フィンガーペインティングス」の中の「Dr.Macumba」や「Cabo Frio」そして「This Time」あたりのナンバーはクルーらしくて、忘れられない曲だ。ところが『ミッドナイト・イン・サン・フアン』の「Theme for a Rainy Day」が、当時ガツンと響いてこなかったのは何故なのか。

気になってマイCDライブラリーを調べてみると、アルバム『ミッドナイト・イン・サン・フアン』は欠落しているではないか。確かにアール・クルーのCDをすべて持っている訳ではないので、当然あり得ることだが、CDジャケットの記憶はあった。
思い起こせば、当時のHMVかタワーレコードの店内あたりで試聴したことが考えられる。
ただ、それでも当該曲をスルーしたのである。91年頃と言えば、フュージョン系のすべての曲にマンネリ感と倦厭気味だった時期と重なる。購入に至らなかったのは、そんな理由が考えられるが、真相は定かでない。




もう一つ考えられるのが、コジツケ気味だが、年齢が関係していたのではないかという点だ。
91年頃と言えば、私はいわゆるアラフォー(この表現、今はすっかりご無沙汰)世代だったから、「Theme for a Rainy Day」の曲の良さ、深さを充分理解できるほど、成熟していなかったと言うことだ。年齢とともに好みの曲が変わると言うことはよくあるし、最近の私の持論でもある。ある程度の年齢を重ねないと理解できない音楽というのも、確かにあるのだろう。
このような事って、音楽に限らずあらゆるケースでも言えるから、恐らく年齢の理由が正解なのだろう。


さて、アール・クルーのアコスティックギター。その中でも、ナイロン弦の透き通った心地良い響きと美しい音色は、以前から私はカリビアン風だと感じていた。そして、このアルバムタイトルに含まれるSan Juanとは、アメリカ合衆国のプエルトリコ島最大都市(首都)だと知り、なるほどと思った。今回の「Theme for a Rainy Day」が、カリビアンの香りイッパイなのも道理に合う訳だ。知らなかったのは私だけと言うことだで、実に情けない。

彼のギターは、ときにハワイ発祥のスラックキーギター奏法を感じさせるところがある。奏法と言うか弦音の質感と言ったら良いのかも知れない。これは私だけが感じていることかもしれないが、例えば、私が大好きなケオラ・ビーマーのアルバム「Soliloquy:Ka Leo O Loko」(図2)あたりを聴いていただければ、ご理解いただけるかも知れない。

ちなみに、この「Soliloquy:Ka Leo O Loko」というアルバムは、15曲収録されていて45分だ。ハワイ特有のゆったり感の45分間ツアーを味わうことができる。
なかでも、2曲目の「Kapalua Bay」は筆者のお気に入りである。

              
                 (図2)


筆者のお気に入りの「Kapalua Bay」




いずれにしても、ふたりのギターからは、南の国の長閑で暖かな空気感を感じることは間違いないだろう。彼らのギターはエネルギーあふれる若者には、チョッと物足りないだろうが、年齢を重ねた私たちにはジャストフィットするのだ。そんな訳で今回は、音楽鑑賞には罰則規定はないけれど、年齢制限(?)は必要かも、というとりとめのないお話でした。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。
from JDA

<追記>
本文中の年齢制限はもちろん「聴いてはいけません」という意味合いではなくて、「この年齢なら相応しい」といった程度のもの。迷宮のような音楽シーンにあって、道標(みちしるべ)的役割を果たせたらといった想いが込められている。

参考までに、
今回紹介したアルバム同様に、年齢を重ねた方々に聴いていただきたいアルバムを、もう一枚紹介しておこう。
エディー・ヒギンズの1998年リリースのアルバム「My Foolish Heart」である。
渋いTsaxはスコット・ハミルトンがフィーチャリングされている。
「サックスは大人の味」の見本のようなアルバムである。

エディー・ヒギンズ「My Foolish Heart」



コメント

このブログの人気の投稿

映画「パリのめぐり逢い」がDVD化されないのは...

懐かしのハートカクテル わたせせいぞう

やっぱり、カラヤンはいい!