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F1解説者、今宮純氏を偲んで

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フジテレビ系列のF1放送の解説を初期の段階から担当していた今宮純氏が先日亡くなられた。享年70歳、F1ファンにとっては惜しまれる、あまりに突然の知らせだった。 氏のプロフィールを読むと、慶應義塾大学に在籍中からモータースポーツの世界に関わり、その熱意と情熱は常人ではなかったことがわかる。その頃からあらゆるカテゴリーのモータースポーツに関わり、文字通り生涯スポーツジャーナリストとしてその一生を捧げたと言える。熱心な取材活動、F1実況における丁寧な解説、口調からも氏の温厚で誠実な人柄が感じとれた。時には、込み上げる思いが先行して言葉に詰まる場面もしばしばあったが、そんなことも氏の誠実さと優しさの表れだったのだろう。 ピットの様子 < jganesh による Pixabay からの画像> そんな今宮氏の人となりをわたしとしては最も感じたシーンがこれだ。 1994年のF1サンマリノGPでのアイルトン・セナの事故死の際の中継である。今宮氏は当時、マクラーレンのチームメイトで最大のライバルだったアラン・プロストよりもアイルトン・セナの方を応援していたはずだ。それはF1中継を長年見続けてきた私たちF1ファンなら誰しも気付いていたことだろう。 解説者、モータージャーナリストという立場上、そのことは安易に言えなかったことだろうが、歴代のF1ドライバーの誰よりもセナのことが好きだったと想像する。 その事故があったときの実況現場のことは私たちテレビを見ているものにとってはわからないことだが、あのとき突然に訪れた残酷な現実、アクシデントに対し、放送現場の関係スタッフ誰もが一瞬時間が止まったように感じたはずである。呆然とする自分と狼狽る自分自身の姿の共存。凍りついたような一瞬だった。夢であって欲しいと祈った。あの場面で今宮氏も同様の思いだったと思う。 だが、その後、氏は我にかえり解説者の立場に戻ったのだ。 「モータースポーツに関わっていると、こうした現実があるけれども、我々はそれを受け入れなければならない」といった内容のコメントを発し、 「次回のモナコGPにはセナはいませんが、F1は続いていくわけです」と解説者としてのコメントを涙を堪えながら述べた。 Ayrton Senna da Silva < Luis Carlos による ...