アメリカ大寒波の報道に思う

このところのアメリカを襲っている大寒波は過去20年で最も厳しい寒波のようだ。
ネット上でもテレビのニュースでも取り上げられているが、その凄さはあのナイアガラの滝をも凍らすほどらしい。映像でもその状況を確認できたが、あの物凄い滝の水量が完全に凍り付き行き場を無くしたとき、果たしてどうなるのか想像しただけでも恐ろしくなってくる。

だが、当のアメリカでは、このニュースそのものよりも別のところに関心事があるようだ。
それは、アメリカの保守派ウェブサイト上で、この大寒波が地球温暖化「でっち上げ」の証拠であると叫ばれていることだ。また、かつて地球温暖化による危機を訴えたアル・ゴア氏を皮肉った言動もメディアの中に行き交っているという。地球規模で議論が交わされている地球温暖化問題も、決定的な科学的根拠がないがために各国の足並みが揃わず、その対応が中途半端になっているのが現状だが、地球温暖化を認めたくない彼らにとっては、今回の自然現象は格好の材料であり、即座に利用されたのであろう。

彼らが地球温暖化を認めたくない理由は、仮にそのことを認めれば、彼らの政治的地盤を支えているあらゆる企業・組織等はその改善策を大規模に強いられ、彼らにとっては極めて具合の悪いことで、どうしても避けたい選択肢だからだ。
そう考えると、この大寒波は彼らにとってみれば「渡りに船」
自分たちの主張を有利に展開する絶好のチャンスだったのだろう。

だが、多くの人たちが懸念するのは昨今の地球規模で起きている異常気象の問題であり、地球温暖化はあくまでもそうした現象のひとつ。
「極端に寒くなったのだから地球は温暖化していない」という彼らの主張はあまりに稚拙な考え方である。彼らも本当はそうは思っていないだろうが、先述の理由で本音は決して口に出せない。
故に、利権が絡んだ主張なのだろうが、何れにしても救い難い人たちであることに間違いはない。

いま私たち人類が生きている時代は、ながい地球の歴史から見れば取るに足らない一瞬であり、私たちが実際に直面している数々の現象も、地球上で繰り返される単なる自然現象の一つに過ぎないのかもしれない。
だが、人類が地球上に出現し体験してきた歴史のなかで、明らかにおかしいと感じ、変化をいくらかでも意識したとしたら、それに対し警戒し何らかの対策を取るのは賢明な考えだと思う。
更に、いま私たちの周りで起きている異常と思える現象を、将来起こりうるかも知れない取り返しのつかない出来事の兆しと考えても決して的外れなことではない。

昨今は「地球にやさしい」というフレーズをよく耳にするが、本当はそんな偽善的な言い方ではなく、ハッキリと「人類にやさしい」と言うべきではないかと思う。
さも「地球のために頑張っている」といった恩着せがましい大義名分ではなく、本当に必要なのは自分たち人間を守るためとハッキリ主張する方が切実性があり、今よりももっと賛同を得られるかもしれない。

この先、人類が何の対策も取らずにいたら、地球は一体全体どうなるのだろうか。
仮に行動なき後に待っているのが悲惨な人類滅亡というシナリオであったとしても、当の地球は痛くも痒くもないと思う。滅びるのは人類だけで、地球はその後も自らの治癒力で何事もなかったかのように自転と公転を繰り返すだろう。地球にしてみれば、このまま人類が突き進み自滅の途を辿ってくれた方が好都合に違いない。

そうならない為にも、私たちはいまやるべき具体的行動を早急にとって行かなければならないと思う。
「人間のためになること」と「地球のためになること」とは決して別物ではないはず。本当に人間のためになる行動を私たちがとっていれば、その結果は同時に地球のためにもなっていると信じたい。

ここ数日のアメリカの一部の人たちの言動には落胆したが、アメリカはもっとキャパの広い国のはず。アメリカを含め世界中が私利私欲、権力闘争などに現を抜かしている場合ではない。
もっと広く大きな視野と無欲の心で、この異常気象の問題に取り組んで欲しいものだ。

コメント

< これまでによく読まれている記事 >