アップルの戦略に思う

一部の熱狂的ファンに支えられ細々と生き延びてきたかつてのアップル。
最近では出す商品は必ずヒットし、話題性とともにその影響力は計り知れない。
次の製品は?デザインは?何時?と期待させてくれる注目の的アップル。
だが、そんなアップルの戦略に疑問が・・・そして真相は。
今回はそんなお話である。

アップルの歴史を見てみると、新しい技術には比較的早く対応してきたように思うのだが、
最近の傾向は全く逆のように思えてならない。
たとえば、USBやFireWireなどは、アップルは早い段階で標準搭載を基本に、
新規機種に積極的に採用していた。
ところが、今のアップルは新技術・新機能に消極的なように思える。
例えば、テレビ機能やブルーレイなどである。
未だ純正での搭載機種はないのが現状である。

特に感じるのは、iMac、MacBookAirなどパソコンでのCPU選択に関してだ。
この二つのPCは発売時点でのスペックはその時点の最新最強ではない。
従来型あるいはワンランク、ツーランク下のCPUを敢えて採用しているのだ。
勿論、アップルストアーなどではオプションとして上位バージョンを選ぶことは可能なのだが・・・。
果たしてアップルの意図は如何にである。

考えつくところでは、テレビやブルーレイに関しては時期尚早であり、
必要不可欠の機能とアップル側が判断しなかったこと。
また、MacBookAirの場合は、台頭激しい他社のネットブックの対抗商品として、
価格を抑えるという事情があったこと。
(現に初代MacBookAirに比べ二代目の価格は最低機種で半分以下である。CPUの性能はクロック数で初代より劣る。)
つまり旬のCPU「Core i」シリーズを搭載すれば価格面で対抗できず、
やむを得ず「Core 2 Duo」を採用せざるを得なかったという理由である。

このような事情があったにせよ、CPUに「Core i」シリーズを採用せず、
従来の「Core 2 Duo」を使ったという戦略はユーザーを失望させるだけでなく、
デビュー機の出足を鈍らせる原因にもなったはずだ。
アップルにとって決して賢い選択とは思えなかった。
どうせ次のマイナーチェンジには「Core i」シリーズが搭載され、
さらに価格も下がるだろうとの憶測の下、購入を控えるユーザーは多かったはず。
少なくとも私はそう考える。直ぐには飛びつかない。
と云った記事を書こうと準備していたのだが・・・

初代と二代目の発売時期の間隔は約2年9カ月。
半導体の世界には「ムーアの法則」というのがある。
それ故、CPUの性能がダウンしたのだから、本体価格を半分以下にすることは、
企業努力がなくても極めて容易なこと。
だが、調べるうちに、真相はそれほど単純ではないことに気付く。

実は、初代機にはCPUによる熱暴走の欠陥があったのだ。
華々しいデビューとは裏腹に、夏場のヘビーユーザーによるクレームが当時かなりあったとのこと。
そのため二代目ではその熱対策が最大の課題であり急務だったのだ。
その上で、メモリーの工夫による処理速度の改善、ハードディスクのSSD化、
新GPUの搭載など、更なる改善を施した上での二代目の価格は、驚異的と言える。
アップルの、努力の賜物以外の何物でもない。

恐らく熱対策は新CPUを採用すれば容易に改善できたことだろう。
それを敢えてせず、従来のCPUでトラブルをクリアしたところにアップルの気概を感じた。
スペック至上主義に奔らない、企業ポリシーがそうさせたというのであれば、
逆にアップルという会社を高く評価しなければと思ったのである。

ムーアの法則


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